抗てんかん薬の分類
興奮系抑制薬と抑制系増強薬とに分類されます。
神経性アミノ酸とは
哺乳動物の中枢神経系で神経伝達物質ではないかと考えられているアミノ酸がある。
神経性アミノ酸は、2種類、興奮性と抑制系アミノ酸に分類されます。
興奮性 |
グルタミン酸、アスパラギン酸、システン酸、ホモシステン酸 |
抑制系 |
GABA,グリシン、タウリン、アラニン、シスタチオニン、セリン |
不活性 |
グルタミン、ロイシン、トレオニン、リジン |
不明 |
アルギニン、ヒスチジン
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GABAは、GABAA受容体、GABAB受容体GABAC受容体の3種の受容体に作用します。
GABAは、Γ-アミノ酪酸(γ–Aminobutyric acid[GABA])の略です。
抗てんかん薬の比較
リガンド(ligand; ライガンド)とは、特定の受容体(receptor; レセプター)に特異的に結合する物質のことです。
T 型Ca チャネル阻害剤が振戦を改善すると言われています。
抗てんかん薬の作用機序
クレデンシャル2019.2より引用
抗てんかん薬の作用機序
1.フェニトイン(アレビアチン):
電位依存性Na⁺チャネルを阻害とGABA神経機能の亢進が考えられています。
2.カルバマゼピン(テグレトール):
てんかん及び鎮痛機序については,不明な点が多いですが,
①Naチャンネルの遮断による末梢および中枢の発作性異常放電や異常興奮伝導の抑制。
②ノルアドレナリン再取り込み阻害により下降性疼痛抑制系を賦活し,脊髄後角での発痛関連物質の遊離・放出の抑制。
③抑制系神経伝達物質γ-アミノ酪酸(GABA)合成酵素賦活,分解酵素抑制によるGABA抑制作用の増強,などの機序が考えられています。
3.エトサクシミド(ザロンチン)やゾニサミド(エクセグラン):
Cav3(T型)の Ca++ 電流を抑制。
エクセグランによる尿路結石がみられることがあります。
4.オクスカルバゼピン:
電位依存性ナトリウムチャネルの遮断が主で,それに加え高電位活性化型カルシウム電流の低下,カリウムチャネルとの相互作用及びグルタミン酸介在性作用の抑制によって,神経の過興奮を抑制し,抗けいれん作用を発揮すると考えられます。
5.ラモトリギン(ラミクタール):
Na+チャネルを抑制することにより、神経膜を安定させ、グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の遊離を抑え、抗痙攣作用を示すと考えられています。N型・P型Ca²⁺チャネルを抑制します。
承認用量(初回用量及び漸増用量)を超えて投与した場合に皮膚障害の発現率が高くなることが知られています。
本剤は併用する薬剤の有無又は種類により、漸増方法及び維持用量が異なる。本剤のグルクロン酸抱合を誘導する薬剤の併用の際には留意することとなっています。
グラクソ・スミスクライン ラミクタールⓇ 製品概要
6.レベチラセタム:
レベチラセタムの作用機序として,
① 神経伝達物質放出の調節に関与すると考えられるシナプス小胞タンパク2A(Synaptic Vesicle Protein 2A)(SV2A)への結合
② N 型カルシウム(Ca2+)チャネル阻害作用
③細胞内 Ca2+の遊離抑制作用
④GABAおよびグリシン作動性電流に対するアロステリック阻害の抑制作用
⑤神経細胞間の過剰な同期化の抑制作用
※各種受容体及び主要チャネルとは結合されないとされています。
シナプス小胞膜蛋白質 SV2 には SV2A、SV2B、SV2C の 3 種のアイソフォームが存在しますが、このうち SV2A が最も高い脳内分布を示し、大脳皮質、海馬、小脳などの脳部位において高い分布を示します。
SV2A は 12 回膜貫通型の糖蛋白質であり、その構造は、膜貫通領域、N-末端領域に存在します。活動電位依存的な神経伝達物質およびホルモンの遊離調節機能を有しています。