最初は滑膜組織に炎症が起こる
骨と骨とをつなぐ関節は、軟骨がクッション、関節液は潤滑油として、関節を滑らかに動かす役割を果たしています。また、関節液は滑膜 ( かつまく ) でつくられます。
滑膜は、関節包(かんせつほう)の内部にある透明で粘り気のある液体で薄い膜と軟らかな組織からできています。これらは滑膜組織とよばれ、関節を内側から包んでいます。リウマチによる炎症は、この滑膜組織から始まり、しだいに軟骨や骨に影響していきます。そのため、病気が滑膜組織にとどまっているうちに治療を始めれば、軟骨や骨が壊れるのを防ぐことも可能となります。リウマチの早期発見・早期治療は上記のような理由で大切なのです。
リウマチの炎症が進行すると、滑膜組織からTNFα、インターロイキン1 ( IL-1 ) 、インターロイキン6 ( IL-6 ) などの炎症性サイトカイン ( 炎症を起こす物質 ) や、中性プロテアーゼなどの酵素、活性酸素、一酸化窒素など、炎症を悪化させる物質が次々と生み出されるようになります。このうち、中性プロテアーゼは軟骨を壊すはたらきをします。
また、炎症性サイトカインは、骨を壊す役割をもつ破骨 ( はこつ ) 細胞のはたらきも活発化させます。壊れる骨の量が、日々新たにつくられる骨の量を上回ると、骨が壊れていってしまうのです。
関節破壊の進行は、 発症2年以内 に 急速に進行することが分かっています。
リウマチの発症
監修:林 泰史 関節リウマチとはどんな病気かより
関節リウマチが起こる機序
免疫系が自分自身の組織を攻撃することで起こります。
関節リウマチで生じる関節の腫れと痛みは、免疫の働きに異常が生じたために起こると考えられます。免疫は、外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスなどを攻撃して破壊し、それらを排除する働きを担っています。
しかし、免疫に異常が生じると、誤って自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。それにより炎症が起こり、関節の腫れや痛みとなって現れてきます。
その炎症が続くと、関節の周囲を取り囲んでいる滑膜が腫れ上がり、さらに炎症が悪化して、骨や軟骨を破壊していきます。
監修:林 泰史 関節リウマチとはどんな病気かより
関節リウマチは、人体を守る免疫機能が誤作動を起こして、2つの骨を覆っている「滑膜」という組織を攻撃するようになることがわかっています(自己免疫疾患といいます)
関節リウマチにかかわるサイトカイン
日医雑誌 第141号・第8号 :1696-1700,2012-11
- TNF、IL-1、IL-6等の炎症性サイトカインが滑膜組織から大量に放出されます。
- IL-6はCOX-2を誘導しアラキドン酸カスケードからPGE2を産生します。
- PGE2はVEGFを介した血管新生にもはたらき炎症を増幅します。
- COX-2の発現は、滑膜細胞のアポトーシスを抑制し滑膜増殖を誘導し、このことが関節における滑膜炎を増悪させます。
- PGE2は骨芽細胞に働きRANKL(受容体アクティベーター(NF-κ)リガンド)を誘導し、破骨細胞前駆細胞膜上のRANKと接触することにより破骨細胞へと分化・活性化させ
- TNF等のサイトカインは、マトリックスメタプロテアーゼ(MMP)-1,3,9、13を誘導します。滑膜から関節内に放出されたMMPは、軟骨の主成分であるII型コラーゲンなどを切断し、軟骨組織を酵素分解します。それらは滑膜線維芽細胞やT細胞にRANKLの発現を誘導し、RANKの刺激を介して破骨細胞の成熟を促し、炎症性滑膜と骨が接する境界に多核破骨細胞が局在した結果、骨組織を吸収破壊します。
VEGF(Vascular endothelial growth factor; 血管内皮細胞増殖因子)
パンヌス(炎症性肉芽組織)とは、滑膜に発生した炎症が肉芽組織を形成して軟骨、骨の破壊に至る像
関節リウマチ薬分類
白血球の働きおさらい
横浜サトウクリニック 免疫をつかさどる白血球より
抗リウマチ薬(DMARDS)
関節リウマチ(かんせつリウマチ、rheumatoid arthritis:RA)
免疫異常を調整して関節リウマチの活動性を抑える薬です。
DMARDs(Disease-Modifying Anti-Rheumatic Drug)とも呼ばれます。
次の二つに分類されます
- 免疫調整薬
正常な免疫には影響せず、異常な免疫機能を正常化します。 - 免疫抑制薬
全ての免疫機能を抑制します。
効果発現の遅効性
抗リウマチ薬は遅効性であり,多くは効果発現まで2~3カ月を要します。したがって,ある抗リウマチ薬を開始したら最低3カ月は投与を続け,3カ月続けても効果がみられないときは他の薬剤に変更すべきです。
抗リウマチ薬一覧
免疫調整薬
金製剤(注射金剤)
注射金剤(金チオリンゴ酸ナトリウムgold sodium thiomalate:GST):シオゾール
作用機序
詳細な作用機序は不明であるが、プロスタグランジン合成阻害作用があることが判っています。食細胞に働き掛け、MHCクラスII分子-蛋白相互作用を阻害します。以下の酵素を阻害する事も判明しています。関節軟骨の破壊の抑制
・酸性ホスファターゼ、β-グルクロニダーゼ、エラスターゼ、カテプシンG(英語版)、トロンビン
GSTによる骨破壊の抑制効果はMTXと同等と考えられる。中等症以上のRA症例が本剤の適応。【推奨B】。
筋注投与
投与法は,初回に10mg,2回目は1~2週後に25mg,3回目以降は2~4週毎に25~50mg筋注とし,総量200~300mg以上で効果が現れ始めます。効果発現以降は10mgまたは25mg筋注を2~4週毎に維持し,効果が続く限り継続します。近年は10mgの低用量を1~4週毎に筋注する低用量維持療法も推奨されています。本剤は寛解後に投与を中止すると再燃することが多く,いったん再燃すると投与を再開しても再度の効果は得られにくくなります。副作用の発現率は他の抗リウマチ薬に比して高いです。副作用として皮疹,口内炎,腎障害(蛋白尿)が多く,低頻度ながらより重篤な副作用として,血管運動性反応(顔面紅潮,めまいなど),剥脱性皮膚炎,間質性肺炎(gold lung),ネフローゼ症候群,骨髄障害,があります。
金製剤(経口金剤)
経口金剤(オーラノフィンauranofin:AF)リドーラ
作用機序
はっきりとした作用機序はわかっていませんが、マクロファージや好中球、T細胞の成熟、機能を抑制する働きがあるとされています。自己免疫疾患における自己抗体の産生及び血中IgGの増加を抑制して,免疫応答性を調節すると考えられています。
経口金剤であるAFはプラセボ対照試験ではRAにおける効果が確認されているものの,GSTとの比較ではGSTに劣ると考えられます。GSTからAFへの切り替え試験においても,AFはGSTの代替にはならないことが示されています。しかし,発症2年以内の早期RA例では,診断1年以内にAFを開始した症例は,8カ月間プラセボ投与後に抗リウマチ薬に切り替えた症例に比して,5年後に改善が持続する例が有意に多く,早期におけるAF使用の有用性が示されています。以上の成績より本剤は症状が軽度で早期のRAが適応と考えられます。【推奨B】
投与法は1日6mgを分2経口投与。重篤な副作用は他の抗リウマチ薬に比して低い傾向にあります。副作用として下痢・軟便が多く,皮疹や口内炎も認められます。骨髄障害,腎障害,肝障害,間質性肺炎の報告もあるが頻度は低いです。
【SH基剤】D-ペニシラミン(D-penicillamine:D-PC)
メタルカプターゼ
作用機序
作用機序は不明である.T-リンパ球を介して,細胞性免疫系に作用し,免疫応答系を調節する作用があると考えられています。
GSTと同等のRAに対する有効性が確認されています。しかし,骨破壊の抑制効果は期待できないようです。
用法・用量は1日に100~300mgを食間に服用させます。副作用防止のため,少量(50~100mg)より開始し,漸増することが勧められます。効果発現は投与後2~3カ月と比較的遅い。本剤の副作用発現率は抗リウマチ薬のなかでも高く,消化器症状(食欲不振,悪心,嘔吐,下痢),皮膚粘膜症状(皮疹,口内炎,味覚障害),腎障害(蛋白尿,時にネフローゼ症候群),肝機能障害は頻度が高いようです。より重篤な副作用として骨髄障害(白血球減少症,血小板減少症),間質性肺炎,自己免疫疾患の誘発(SLE,皮膚筋炎,重症筋無力症など)がみられることがあります。副作用防止の目的でビタミンB6投与が行われることがありますが,エビデンスは乏しいです。副作用のために,本剤はRAに対する抗リウマチ薬のなかでは使用が比較的制限されています。抗リウマチ薬の第一選択薬というよりは他の抗リウマチ薬が無効か使えない中等症以上の症例に用いられることが多いようです。【推奨B】
【SH基剤】ブシラミン(bucillamine)
リマチル
採用機序
作用機序は不明ですが、サプレッサーT細胞(抑制性T細胞)の機能改善を介して免疫系を調節する作用があると考えられています。
本剤はGSTやD-PCと同等の効果が期待でき,わが国で最も使用頻度の高い抗リウマチ薬の一つであると考えます。GST無効例にブシラミンを投与して改善を認めた報告があります。効果発現は1~3カ月。用量は当初は300mg/日とされていましたが,副作用の頻度が高くなるため,100~200mg/日で使用されることが多いです。副作用として,消化器症状(食欲不振,悪心,嘔吐,下痢),皮膚粘膜症状(皮疹,口内炎,味覚障害),腎障害(蛋白尿,ネフローゼ症候群)は頻度が高く,留意すべき点です。頻度は少ないですが間質性肺炎,骨髄障害(白血球減少症,血小板減少症),肝機能障害,爪の黄染・肥厚が認められています。比較的早期で症状と炎症反応が中等度以上の症例が適応と考えられます。【推奨A】
免疫複合体のジスルフィド結合(S-S結合)に働いて解離させることにより作用します。又、キレート作用があり銅沈着を主徴とするウイルソン病に用いられます。
サラゾスルファピリジン
アザルフィジンEN (Enteric:腸溶製剤)
作用機序
潰瘍性大腸炎では代謝物の5-アミノサリチル酸が主な作用を示す物質であるのに対し、サラゾスルファピリジン(商品名:アザルフィジンEN)ではサラゾスルファピリジン自体が病気の改善作用を示します。
サラゾスルファピリジンは免疫細胞に働きかけます。これら免疫細胞から炎症を引き起こすIL-1、IL-2、IL-6(インターロイキン1、2、6)などの物質が産生されますが、サラゾスルファピリジンはこの作用を抑えます。これにより、関節リウマチによる異常な抗体が作られる過程を抑制できるようになります。
5-アミノサリチル酸では、免疫細胞から産生される炎症に関わるIL-2の産生を抑制しないことが分かっています。また、5-アミノサリチル酸は関節炎発症などの抑制効果もありませんでした。そのため、関節リウマチ治療にはサラゾスルファピリジン本体が重要であると推測できます。
サラゾスルファピリジンによる関節リウマチに対する効果は強力であり、比較的早期で軽症~中等症の関節リウマチへの適応が良いと考えられています。効果が表れるには1~2ヶ月の期間を必要とします。
免疫抑制薬
メトトレキサート
監修 高田和生 膠原病診療における免疫抑制治療 主な免疫抑制薬の作用機序より
作用機序
葉酸代謝拮抗薬であるメトトレキサートは関節で炎症を起こし活動・増殖が活発な滑膜細胞やリンパ球の中の「葉酸の働きを抑える」ことで滑膜細胞やリンパ球の活動・増殖を抑え、炎症を抑えていく作用があります。
葉酸の働きを抑える具体的な作用機序ですが、葉酸はいくつかの酵素によって変換され活性型となりDNAの合成に関与します。
メトトレキサートは葉酸の代謝過程でジヒドロ葉酸(DHF)からテトラヒドロ葉酸(THF)に変換するジヒドロ葉酸レダクターゼを阻害することで、葉酸が活性型になるのを抑え、葉酸の働きを抑えます。
主にメトトレキサートは、核酸のプリン塩基合成の補酵素であるテトラヒドロ葉酸の合成を阻害します。これによりリンパ球が抑制されると考えられています。血管内皮細胞ゃ線維芽細胞の増殖抑制が血管新生や滑膜増生を抑制します。またMMP(マトリックスメタプロテアーゼ)のmRNAも発現を抑制されます。
また、炎症部位への好中球の遊走を 抑制します。この好中球遊走抑制作用には、メトトレキサートの作用によって線維芽細胞や血管内皮細胞から遊離したアデノシンの好中球に対する細胞接着阻害作用や、強力な好中球遊走活性を有し、リソゾーム酵素の遊離作用も知られているロイコトリエン B4の産生抑制が関与する可能性が考えられています。
サイトカインへの作用として、メトトレキサートはラットのアジュバント関節炎モデルで亢進したマクロファージのインターロイキン-1(IL-1)産生を経口投与で抑制します。IL-1 産生の抑制は、臨床的に認められています C-反応性タンパク質等の急性期物質の低下や全身症状の改善に寄与する可能性が考えられます。一方、メトトレキサートは滑膜組織や軟骨組織の破壊に関与するコラゲナーゼ産生を in vitro(ヒト滑膜線維芽細胞)で抑制し、メトトレキサート治療の関節リウマチ患者では滑膜組織中コラゲナーゼ mRNA 発現が抑制されました。以上の諸作用により、メトトレキサートは関節リウマチの滑膜病変を沈静化すると共に全身症状を改善する結果、関節リウマチの活動性を低下させるものと推察されます。
MTXはDNA,RNA,アミノ酸代謝の阻害を介して抗免疫・抗炎症作用を発揮すると考えられています。
葉酸製剤【フォリアミン】と活性型葉酸製剤【ロイコボリン】の違い
葉酸製剤【フォリアミン】は葉酸レダクダーゼやジヒドロ葉酸レダクターゼなどの酵素によって活性型に変換されてDNAの合成に関与します。
一方で、ロイコボリンは細胞の葉酸プールに取り込まれ上記の酵素を介さず活性型葉酸となります。
細胞内の遊離MTXは代謝されて、末端のグルタミン酸が連鎖的に付加されてMTX-ポリグルタミン酸(MTX-polyglutamates)になります。このMTX-ポリグルタミン酸は、細胞内に長く留まり、ジヒドロ葉酸レダクターゼの作用を長く阻止し、滑膜細胞やリンパ球などのDNA合成を阻害します。この事がMTXを週1-3回内服するだけで効果が1週間続く理由です。尚、喫煙はMTXのポリグルタミン酸化を抑制することが知られています。
アデノシンの生理学的作用
MTX投与症例での周術期における対応(整形外科予定手術の場合)
症例 |
対応 |
6mg/週~12mg/週以下 |
MTX投与の継続。術後感染症、術後創傷遷延治癒には影響しない。ただし、術後感染症の合併に注意する。 |
12mg/週超~16mg/週 |
個々の合併症を慎重に考慮し、MTX投与の継続/一時中断/再開を判断する。
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タクロリムス(プログラフ)
プログラフは、カルシニューリンを阻害し、サイトカインの合成・分泌を抑制することで、ヘルパーT細胞から他の免疫系へ情報伝達を抑制し、関節リウマチ症状を緩和します。
細胞内のFKBP12(Caチャネルの活性化に関与)と複 合体を形成し、 カルシニューリンの基質であるNFAT (nuclear factor of activated T cells)の脱リン酸化を阻 害することで、 IL-2(インターロイキン2)及び、INFγ(イ ンターフェロンγ)、IL-3,4,5等、T細胞由来のサイトカイ ン産生を抑制し、 TNFα、IL-1β、IL-6の産生も抑制する。
用法・用量
〈関節リウマチの場合〉
通常、成人にはタクロリムスとして3mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、高齢者には1.5mgを1日1回夕食後経口投与から開始し、症状により1日1回3mgまで増量できる。
関節リウマチに用いる免疫抑制薬プログラフ™(タクロリムス)カプセルが1日1回夕食後服用なのはなぜでしょうか?
関節リウマチの症状に朝のこわばりがあります。関節を動かし始める時、こわばって動かしにくく,動かすうちにだんだん楽にになります。このこわばりの症状が、朝起きた時に最も強く感じ,関節やその周囲も1時間以上持続すると言われています。この朝のこわばりの症状を軽減するために,夕食後に服用となっています。
相互作用
免疫抑制剤のタクロリムス(プログラフ)は、CYPの3A4という分子種によって代謝されるため、グレープフルーツの摂取により血中濃度が上昇します。
副作用
急性腎障害,ネフローゼ症候群などですが、タクロリムスの中止理由として高頻度なのは胃腸障害です。代謝関連では,高血糖はタクロリムスに,他方高脂血症はシクロスポリンにより多く見られるようです。
トファシニチブ(ゼルヤンツ)
関節リウマチの病変に関与する主なサイトカインのうち、JAK Pathwayを利用するものは、IFN-α、IFN-β、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、IL-23と言われています。JAKファミリーにはJAK-1、JAK-2、JAK-3、TYK-2の4種類あり2分子以上のJAKが受容体に会合し活性化されます。JAK-1とJAK-3が会合した受容体はIL-7、IL-15、IL-21など、JAK-1とJAK-2が会合した受容体はIL-6などが利用することが分かっています。
JAKの結合部位にATPが結合すると、ATPのリン酸化によりJAKは互いに活性化しあい、細胞内シグナル伝達が開始されます。JAKの活性化に続き、受容体がリン酸化されます。受容体がリン酸化すると転写因子であるSTATが受容体に会合し、STATのリン酸化が起こります。リン酸化されたSTATは2量体を形成し、核内に移行、炎症性サイトカインなどの遺伝子の転写を誘導・活性化します。ゼルヤンツはJAKのATP(アデノシン3リン酸)が結合する部位に結合してATP による JAK の活性化を阻害して、炎症性サイトカインの遺伝子が活性化するのを抑制します。
生物学定期製剤が細胞外の炎症性サイトカインや受容体、細胞に作用に作用するのに対して、ゼルヤンツは細胞内で作用することです。
生物学的製剤が高分子であるのに対して、ゼルヤンツは低分子であることです。したがって、経口での投与が可能となっています。
用法・用量
1回5mgを1日2回内服します。中等度又は重度の腎機能障害や中等度の肝機能障害がある患者さんでは5mg1日1回とします。
相互作用
ゼルヤンツ服用される患者さんとご家族の方へ 関節リウマチより(ファイザー)
副作用
感染症(結核、肺炎、ニューモシスチス肺炎、敗血症、日和見感染症
帯状疱疹、肝機能障害、B型肝炎、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、消化管穿孔、間質性肺炎、悪性腫瘍、心血管系事象、横紋筋融解症、ミオパチーなど
アザチオプリン(イムラン)
体内に入った後、分解されることでその効果を発揮する薬をプロドラッグといいます。アザチオプリンはプロドラッグであり、体内で6-メルカプトプリン(6-MP)に分解、さらにチオイノシン酸に変換され、イノシン酸と拮抗して核酸(プリンヌクレオチド)→アデニル酸・グアニル酸といった核酸の生合成を阻害し核酸やリンパ球の合成を抑制することで免疫抑制作用を発揮します。
T,B細胞,マクロファージに働く。特にT細胞,NK活性阻害,抗体産生抑制,細胞傷害性T細胞阻害,細胞性免疫抑制する。
併用禁忌
本剤の代謝物6-メルカプトプリン(6-MP)の代謝酵素であるキサンチンオキシダーゼがアロプリノールにより阻害されることで、6-MPの血中濃度が上昇します。フェブキソスタットもキサンチンオキシダーゼ阻害作用をもつことから、同様の可能性があります。
シクロスポリン(ネオーラル)
作用機序
T細胞の受容タンパクであるシクロフィリンと結合し、この複合体がカルシニューリンのホスファターゼ活性を阻害することによる。その結果、ヘルパーT細胞のサイトカイン発現に関与する転写因子(NFATc)の核内移行が抑制され、T細胞増殖因子であるインターロイキン-2などの産生が低下する。
副作用
多毛と歯肉腫脹はほぼシクロスポリン選択的な副作用であり,若年者が美容上の理由でタクロリムスへの変更を希望することが時にあるようです。
併用禁忌
有機アニオントランスポーターOATP1B1 を介するスタチン系薬剤の肝細胞への取り込み阻害を介してスタチン系薬剤血中濃度を上昇させるため、ピタバスタチン,ロスバスタチンとの併用は横紋筋融解症などの副作用発現につながります。