医療施設でのエピペン使用中止の理由!ボスミン注1mgからアドレナリン注0.1%シリンジへ変更
この程、ボスミン注アンプル⇒アドレナリン注シリンジタイプへの変更を行いました。
ボスミンアンプル⇒アドレナリンシリンジへの変更理由は・・・
中身は同じ、名称が変わるだけで1mg/1ml入っています。
- ボスミン注の製造販売元は「第一三共株式会社」
- アドレナリン注0.1%シリンジ「テルモ」の製造販売元は「テルモ株式会社」
変更事由
- 緊急時にアンプルよりシリンジへ充填する手間や時間を短縮する目的
- 緊急用として常備してあるエピペンが、元来,アナフィラキシーを発症したが、医療施設への搬送が間に合わない、緊急時に使用するために開発された器具であって、医療施設で使用する目的で作られた器具でないこと。
- 医療施設でエピペンを使用することは禁忌ではありませんが,医療施設外での使用を目的としてつくられた製品であること以外にも,安全性やコストなどを考慮し,アドレナリンはプレフィルドシリンジを備えることが望ましい。と診療ガイドラインにも掲載されています。
(文献:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2012)
エピペン対象者
基本的には,エピペンはアナフィラキシーを発症した患者が自らアドレナリンを注射するための器具で、使用方法は一般の人でも使用できるように簡便になっていますが,本来の目的が異なるため,医療施設で使用するものではありません。
プレフィルドシリンジ薬価と有効期限
プレフィルドシリンジは内容量が1mgなので1本でも追加投与が可能ですが,エピペンの場合は1回だけしか使用できない上に,投与量の調節や追加投与はできません。不注意で穿刺に失敗すれば,その1本が無駄になります。
薬価
薬価もボスミン1A(薬価:94円)と比較して「エピペン0.3mg(薬価:9,810)」とはるかに高くなります。(2022.04現在)
ちなみに今回のアドレナリン注シリンジは薬価149円となります。
有効期限
そのほか,プレフィルドシリンジは有効期間が3年以上あるのに対して,エピペンは1年半で,輸入品になるため実際の使用期間はさらに短くなります。
保管
救急カート用としてはアドレナリンシリンジに注射針を輪ゴム等で止めて常備。
使用は、先に0.7ml破棄後に、残りの0.3mlを使用するようにマニュアルを変更。
医療事故調査・支援センター より
医療事故の再発防止に向けた提言 (第3号より抜粋)
- 薬剤投与開始から5分以内に、皮膚症状の出現に限らず症状が出現した場合はアナフィラキシーを疑い、薬剤の投与を中止する。
- 助けを呼び、バイタルサインを測定することと並行して、アドレナリンの筋肉内注射を準備する。
- アナフィラキシーを疑う症状を認め、ショック症状あるいは収縮期血圧の低下がみられる場合には、成人の場合、直ちにアドレナリン0.3 mgを大腿前外側部に筋肉内注射する。
準備するもの
- 22G針
2.アドレナリン注0.1%シリンジ
アドレナリン0.3 mgの筋肉内注射であれば、有害事象が起きる可能性は非常に低い。
抗ヒスタミン薬、副腎皮質ホルモン薬はあくまで第2選択薬であり、救命に寄与する
とのエビデンスは存在しません。
まとめ
同一の成分であっても名称が異なることもあります(先発医薬品と後発医薬品)。同一成分であることがわかるように、多職種間で情報共有を徹底することが重要でしょう。
また、アドレナリン注とノルアドレナリン注の使用用途の違いについても頭に入れておきましょう。