~中枢神経系と末梢神経系~
末梢神経系 神経系の機能
第一三共ヘルスケアくすりと健康の情報局より
神経系は、中枢神経と末梢神経に大きくわけることができます。
中枢神経:脳と脊髄からなる神経系
末梢神経:中枢神経から枝のように体全体に伸びている神経
末梢神経系は、自律神経系と体性神経系に大別されます。
体性神経系は、解剖学的には、脳に出入りする脳神経と脊髄に出入りする脊髄神経の2つに分類されています。
皮膚など末梢からの情報を中枢に伝える知覚神経 (求心性神経)と、この情報に対応する中枢からの指令を末梢(骨格筋)に伝える運動神経 (遠心性神経)から成り立っています。
自律神経系は、交感神経系と副交感神経系からなります。
交感神経・副交感神経
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について
交感神経は、脊髄から出て、脊髄の両わきにある交感神経幹に入ります。その後は、各臓器など全身に分布し、情報を伝えます。
副交感神経は、中脳、延髄、仙髄から出て、身体の中にのびます。脳や脊髄から全身に向かう神経と脳や脊髄に向かう神経があります。
自律神経系の化学伝達物質
自律神経系の化学伝達物質
●アセチルコリン acetylcholine(Ach)
●ノルアドレナリン noradrenarine(Nor)〈ノルエピネフリン norepinephrine〉です。
交感神経、副交感神経神経節の伝達物質はともにAchです。神経終末の伝達物質は交感神経終末では Nor、副交感神経終末では Achです。
例外として、汗腺は交感神経支配だが節後線維もアセチルコリンを使います。また副腎髄質では節後線維がなく、節前線維のアセチルコリンをそのまま受け取ります。
副腎
組織学的に皮質と髄質に分類されます。
皮質からはステロイドホルモン(アルドステロン、コルチゾール、アンドロゲン)
髄質からはカテコールアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン)が分泌されます。
まとめ図
自律神経受容体と情報伝達
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より
●コリン作動性受容体にはムスカリン受容体(M)とニコチン受容体(N)があります。
(Nn : neuron) (Nm : muscle)
●アドレナリン作動性受容体にはαとβ受容体があります。
M2受容体:主に心臓分布し抑制的に働きます。
M3受容体:主に消化管平滑筋や腺に分布し、消化管活動を活発にするように働きます。
ニコチン受容体
NN受容体は、自律神経節と中枢神経系に存在するタイプで、NM受容体は、運動神経によって支配される骨格筋に存在するタイプです(表1)。NM受容体は、骨格筋の収縮に関与します。
※ムスカリン様作用:アセチルコリン(ACh)による副交感神経節後線維刺激作用
アセチルコリン(ACh)による副交感神経節後線維刺激作用をムスカリン様作用といいます。心拍数減少,末梢血管拡張,腸蠕動亢進,気管や子宮収縮,腺分泌亢進,縮瞳,眼圧低下などの症状を呈する。救急領域では有機リン中毒などでみられます。硫酸アトロピンはこれと選択的に拮抗します。アセチルコリンを伝達物質とする末梢神経は,副交感神経節後線維,自律神経節前線維,運動神経の3種類あるが,それぞれのレセプターは異なります。ムスカリンは,副交感神経節後線維のレセプターと反応するが他の2種類とは反応しません。一方,ニコチンは自律神経節前神経,運動神経のレセプターと反応するが副交感神経節後線維とは反応せず,このニコチンで反応するコリン作動効果をニコチン様作用といいます。
自律神経系受容体の分布と反応
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より
血管:主として血管平滑筋に存在し、血管の収縮に関与
アドレナリン作動性受容体
アドレナリン作動性受容体は、α受容体とβ受容体に大別され、α受容体はさらにα1とα2の2種類、β受容体はβ1、β2、β3の3種類のサブタイプに分類されています。
カテコールアミン(ノルアドレナリンNor、アドレナリンAdr、イソプロテレノールIsp)の反応の強さの違いに基づいて、反応の強さがAdr>Nor>Ispの順である受容体をα受容体、Isp>Adr>Norの順である受容体をβ受容体と決められました。
α1受容体は、主として血管平滑筋に存在し、血管の収縮に関与しています。
α2受容体は、主に交感神経終末に存在し、Norの過剰遊離を抑制するネガティブフィードバックをかける自己受容体です。
β1受容体は主に心臓の機能亢進に関与しています。
β2受容体は血管や気管支平滑筋に分布し、それらの拡張作用に関与しています。
β3受容体(感受性はNor>Adr)は主に脂肪分解促進に関与しています。
Nor、Adr、Ispは代表的なカテコールアミンである。このうち、Norはα1、α2、β1、β3受容体に結合し活性化するが、β2受容体には結合しないので平滑筋拡張作用を生じない。
Adrは、α1、α2、β1、β2、β3すべての受容体に結合し活性化する。Ispはβ1、β2受容体に結合し活性化します。