フォルテオ(テリパラチド)施行後の血清カルシウム上昇について

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フォルテオ(テリパラチド)施行後の血清カルシウム上昇について

フォルテオ

先日、フォルテオ施行患者の血清Ca値を検査したところ、10.9mg/dlと上昇していました。基準値は8.6~10.2mg/dL(4.3~5.1mEq/L) 高度な異常値ではなかったですが、ドクターよりフォルテオを中止した方がよいかどうかの問い合わせもあり、調べてみましたので報告します。

Contents

臨床症例の紹介

<症例1>

【患者背景】

慢性腎不全、糖尿病、高血圧症などの基礎疾患がある88歳の女性で、左大腿骨骨幹部骨折術後の患者

【内服薬】

利尿剤・降圧薬・下剤・糖尿病薬・骨粗鬆症治療薬(Vt.D3製剤・Ca製剤)を内服中

【注射薬】

12/7~フォルテオ(テリパラチド)開始

【検査値】

                       単位:mg/dl                          

  11/29 12/12 12/17 12/18 12/25
血清Ca 6.9 9.3 10.9 10.5 8.0

※採血時間:12/17フォルテオ施行後2時間
※採血時間:12/18フォルテオ施行後20時間
※12/25は、フォルテオ・VitD3製剤・Ca製剤中止7日後

<症例2>

【患者背景】

不整脈、高血圧などの基礎疾患のある77歳の女性で、右大腿骨骨幹部骨折術後の患者

【内服薬】

狭心症治療薬・降圧薬・高脂血症薬治療薬・不整脈薬・骨粗鬆症治療薬(Vit.D3製剤・Ca製剤)鎮痛薬を内服中

【注射薬】

10/3~フォルテオ(テリパラチド)開始

【検査値】

                     単位:mg/dl 

  10/1 12/17 12/18

12/25

血清Ca 9.1 11.2 11.0 10.1

※採血時間:12/17フォルテオ施行後2時間
※採血時間:12/18フォルテオ施行後20時間 
※12/25は、フォルテオ・VitD3製剤・Ca製剤中止7日後

薬理作用

添付文書より、フォルテオの薬理作用により、投与後約4から6時間を最大として一過性の血清カルシウム値上昇がみられます。また、血清カルシウム値は投与後16時間でほぼ基準値まで下降することが知られているため、フォルテオ投与患者における血清カルシウム値を測定評価する場合は、フォルテオ投与後16時間以降の測定値を評価基準としてくださいとなっています。

併用注意

また、フォルテオと活性型ビタミンD製剤との併用は、相加効果により、血清カルシウム値が上昇する恐れがあるため、添付文書上、「併用注意」となっています。よって、12/18よりビタミンD製剤の内服中止としました。フォルテオ施行後数時間は一過性の血清カルシウム値上昇がみらることを把握していませんでしたので、再度翌日、最終施行後20時間空けて採血しました。

考察

症例1では、11/30~Vit.D3製剤・Ca製剤内服開始。12/7からのフォルテオ施行開始5日後より傾眠傾向となり、10日目に意識障害、腎機能低下が見られました。12/17よりフォルテオ及びVit.D3製剤・Ca製剤を中止。翌日には腎機能悪化も見られず意識レベルもある程度回復しました。12/25では、血清Ca値正常値になり腎機能も回復。フォルテオのみ再開始。

症例2では、10/3より施行開始約2ヶ月後(12/2)よりめまいの症状を訴えはじめた。原因が不明だったため、12/11~抗めまい薬の投与したが改善見られませんでした。嘔気・頭痛などの症状も見られませんでした。12/17よりフォルテオ及びVit.D3製剤・Ca製剤を中止。翌日もめまいの症状は継続した。12/25では、血清Ca値は正常範囲内に下がりましたが、眩暈の症状継続。

まとめ

私は、一過性の血清カルシウム値上昇は、初回のみでその後の上昇はないものと思っていましたが、メーカーへ問い合わせすると毎回施行後に一過性に血清カルシウム値が上昇することが分かりました。

また、添付文書の併用注意の項に活性型ビタミンD製剤との併用は、相加効果により、血清カルシウム値が上昇する恐れがあるとの記載もあり、併用による多くの場合、毎回、高カルシウム血症の副作用と同じ症状が一過性に起こってることを実感しました。

症例1の患者は、もともと腎機能が低下していたため、Vit.3製剤の内服を開始したことで血清カルシウム値が上昇していた可能性も否定できません。

過去にもこういった症状を訴えた患者がいましたが、症状を訴えて数日中には改善しており原因究明には至りませんでした。また、午前中に施行して、夕方に毎回身体のだるさを自覚されるのですが、翌日には改善するため原因が不明でした。

フォルテオの使用を開始する患者のほとんどは、以前より何らかの骨粗鬆症治療を行っている場合が多く、特にVit.D3製剤が使われてます。よって、今後フォルテオを開始する際には、まず、内服薬でVit.D3製剤やCa製剤が処方されていないか確認し、必要であれば、一旦中止していただいた上で、フォルテオを開始していただくようにしていきたいと思います。

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