ジェネリック医薬品外用剤の現状と使用感および安全性の評価
近年、日本でジェネリック医薬品への普及が進んできています。その理由としては、日本の国民医療費が増加していることや患者自己負担増加の問題があるからです。医療費抑制としてジェネリック医薬品の普及が注目されています。
しかし、処方する医師がジェネリック医薬品に対する信頼感が薄いこと、薬剤に関する情報が不足していることが理由で一部に処方する程度となっています。
そこで今回ジェネリック医薬品外用剤の使用感や安全性の評価について調べてみました。
ジェネリック外用医薬品は安全に使用できる?
皮膚浸透性と含量
皮膚外用剤の皮膚への浸透性や透過性及び効果については、基剤によって大きく影響を受けます。薬物の皮膚透過性は、主薬、皮膚、基剤の3つで決定されています。特に皮膚外用剤の皮膚透過性は濃度勾配により行われるため含量ではなく、基剤中に溶けている薬物濃度に大きく影響されます。
そのため、主薬の含量が同じでも、基剤により基剤に溶け込んでいる濃度が異なり透過性に差が生じるようです。
添加物
クリーム剤は一般に軟膏と異なり、乳化しているため乳化剤、安定化剤及び防腐剤などの非常に多くの添加物を含んでいるため、先発品とジェネリック医薬品では多くの成分が異なっています。よって、添加物の違いにより副作用が発現する可能性もあります。
添加物による接触性皮膚炎の原因物質の1つである防腐剤のパラベン類は有名です。先発品と比べ、ジェネリック医薬品に含まれる防腐剤濃度が5~20倍も高いものも存在します。
実臨床での使用感
ところが、先発品でも接触性皮膚炎など副作用は起こりえます。防腐剤が多く入っていたからといって必ず皮膚炎が起こるとも限りませんし、少量で起こる方もいます。ジェネリック医薬品の場合、一度副作用が起こるとすべてが否定されてしまう傾向にありますが、先発品でも同じような副作用が存在していることも知っておく必要があります。
また、軟膏剤、ローションなどジェネリック医薬品が使用感や容器の扱いやすさなどで優れているものもたくさん存在します。
外用剤は内服薬と異なり、使用感で効果の感じ方に大きく影響します。また患者にとって使いづらいものは使用回数の減少や使用方法の誤りなど、適正使用できていない可能性もあります。そのような先発品の使用感やデバイスを改良してよりコンプライアンスの向上に繋がっているジェネリック医薬品もあるのです。
よって、ジェネリック医薬品外用剤に関しては、使用感や使いやすさの好みもあるため生物学的同等性のことだけでなく、製剤の特徴や違いを説明しておくことで、安心感をもって使用しえもらえると思います。
実際にジェネリック医薬品のほうが、容器の文字の読みやすさ、容器のの扱いやすさ、貼りやすさ、貼り心地が優位に高かったとのアンケート結果もあります。
まとめ
先発品からジェンリック医薬品への切り替えが推進されるなか、ガイドラインの情報のみでは医薬品をより理解するための情報が不足していると言えます。効果だけでなくあらゆる製剤に関する情報をもっとメーカーからも提供していただくことで、医師はもちろんのこと、患者がジェネリク医薬品を安心して使用できるようにしていかなければなりません。
医師や薬剤師など医療機関側もはじめから偏見を持つのではなく、その製品の特徴をよく理解し、優れているジェネリック医薬品については推進していきましょう。