リンゼス錠が慢性便秘症に適応追加。特徴と他の便秘薬との比較

記事タイトル下(インフィード広告)



リンゼス錠 0.25mgが慢性便秘症の適応追加。アミティーザカプセル・グーフィス錠どれを使う?

便秘

2018年8月21日、「リンゼス(R)錠 0.25mg」について日本で「慢性便秘症」の効能・効果で追加承認取得しました。これまでは、日本において2016年12月に便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)の効能・効果で承認を取得し、2017年3月から販売していました。

記事中(記事内広告)



Contents

便秘薬の種類と特徴・比較 アミティーザカプセル・グーフィス錠・リンゼス錠

「リンゼス錠 0.25mg」が日本で慢性便秘症の効能・効果で追加承認取得

今回の適応追加によって、アミティーザカプセル24μgやグーフィス錠5mgとどのように使い分けていくかが知りたいところです。

実際に各メーカに直接問い合わせを行いそれぞれの特徴などをお聞きしましたので報告します。

リンゼス錠0.25mg

グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト(リナクロチド錠)

  リンゼス錠0.25mg

リンゼスの作用機序

リンゼスはグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体作動薬です。
リンゼス及びその活性代謝物が、小腸及び大腸の粘膜上皮に発現するGC-C受容体を活性化させることにより、細胞内及び細胞外のサイクリックGMP(環状グアノシン一リン酸、Cyclic
guanosine monophosphate: cGMP)濃度が上昇します。

増加した細胞内cGMPは、CFTR(嚢胞性線維症膜貫通調節因子: Cystic Fibrosis Transmembrane Regulator)と呼ばれる塩素イオン(Cl-)チャネルを活性化し、管腔内への塩素イオン及び重炭酸イオン(HCO3-)の分泌が増加します。

その結果、管腔内への腸液分泌が亢進し、腸管輸送能が促進されることにより、便秘型過敏性腸症候群における便通異常が改善すると考えられます。

また、増加した細胞外cGMPは、大腸に投射する知覚神経に対して抑制的に作用し、大腸痛覚過敏を改善することにより、便秘型過敏性腸症候群における腹痛・腹部不快感が改善すると考えられます。

特徴と注意点

この製剤の最大の特徴は、腸管の求心性神経を抑制するため、下剤による腹痛が他と比べて起こりにくいと言われています。

また、健康成人を対象に実施した第1相反復投与時期探索試験において、リンゼスを食後投与した時には、食前投与した時と比較して下痢(軟便を含む)の発現頻度が高かったことなどから、食前に設定されています。

効果発現は初回投与開始24時間以内となっています。

グーフィス錠5mg

胆汁酸トランスポーター阻害剤(エロビキシバット水和物錠)

グーフィス錠5mg

CFTR:cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (嚢胞性線維症膜貫通型コンダクタンス調節因子)、TGR5:Transmembrane Gprotein-coupled Receptor 5(膜貫通Gタンパク質共役型受容体)、5-HT:セロトニン、ⅠPAN:intrinsic primary afferent neuron(内在性一次求心性神経 腸管神経叢内に限局し、消化管の機械的・化学的刺激を感知する感覚神経と考えられている)、Ach:アセチルコリン、NO:一酸化窒素

監修:川崎医科大学 総合医療センター 教授 眞部 紀明先生

グーフィスの作用機序

エロビキシバットは回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させます。胆汁酸は、大腸管腔内に水分を分泌させ、さらに消化管運動を促進させることで、便秘治療効果が発現します。

つまり、大腸内水分分泌と大腸運動促進の2つの作用で排便効果を促します。

腸内に胆汁酸の量を増加させるという意味では、卵かけご飯のように生卵(特に卵黄)を食べることで、胆嚢が収縮して胆汁を十二指腸に送り出すのと似ています。

特徴と注意点

この製剤の特徴は、世界初の胆汁酸トランスポーター阻害剤で、デュアルアクション作用(水分分泌と大腸運動促進)で排便効果を促す。

また、作用は比較的早く(中央値:5.2時間)、朝食前に内服すれば昼頃の排便が期待できるとされています。

ただし、腹痛(19%)と下痢(15.7%)が起こりやすい。

次に内服するタイミングですが、胆汁酸は肝臓で作られ、胆のう蓄えられ、食事とともに十二指腸に排出されます。

主に食事の中の油成分、脂肪酸、脂溶性ビタミン、コレステロールの腸管からの吸収を助ける作用があります。

食事により排出された胆汁酸は、胆汁酸トランスポーター(IBAT)の働きにより、95%程度の効率で再吸収され、肝臓へと戻ります。

食後の投与ではお薬が効く頃には、胆汁酸はすでに小腸から吸収されてしまい、お薬の効果が十分発揮できません。

従って食事により排出される胆汁酸に、効率よく働くように、このお薬は食前に飲むようになっています。

アミティーザカプセル24μg

クロライドチャネルアクチベーター(ルビプロストンカプセル)

アミティーザカプセル24μg

アミティーザ作用機序

腸管の水分泌にはクロライドイオン(Cl–)が関与していると言われており、粘膜上皮細胞の基底膜側にあるナトリウムイオン(Na+)カリウムイオン(K+)2クロライドイオン(2Cl–)共輸送体等を介して粘膜上皮細胞内に取り込まれたCl–は、小腸上皮頂端膜(腸管内腔側)に存在するClC-2クロライドチャネルを介して腸管内腔に移動します。

それに伴い、ナトリウムイオン(Na+)も受動的に腸管内腔に移動し、その結果、腸管内腔へ水が分泌されます。 アミティーザは、小腸上皮頂端膜に存在するClC-2クロライドチャネルを活性化し、腸管内への水分分泌を促進し、便を軟らかくし、腸管内の輸送を高めて排便を促進します。 アミティーザの作用は腸管局所にて発現し、吸収された後速やかに代謝されます。

特徴と注意点

アミティーザの特徴は、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)の効能を有する世界初のクロライドチャネルアクチベーターで、小腸からの水分分泌を促進します。

約60%の患者で24時間以内に自発排便が認められています。初回投与から最初の排便(初回自発排便)までの時間は、23.5±29.1時間となっています。
また、刺激性下剤などで問題となっていた薬物耐性も認められておらず、長期使用が可能です。

主な副作用は、下痢(30%)、悪心(23%)腹痛(6%)等でした。下痢に対しては薬剤の減量で対応し、悪心に対しては、空腹時に症状が出ることが多いため、食直後又は食後の服用にて対応できるとしています。

まとめ

私独自の結論としては、下剤の服用でよく起こる腹痛が少ない、肝機能・腎機能にも影響なく併用薬も気にしなくて良い、薬価も一番安い「リンゼス錠」、作用発現が最も早い「グーフィス錠」、残念ながら特に空腹時に服用すると悪心の症状がでやすい「アミティーザカプセル」と移っていくのではないでしょうか?

現在ガイドラインで推奨度が最も高いランクに評価されている「アミティーザカプセル(ルビプロストン)」ですが、適応追加になった「リンゼス錠(リナクロチド)」や新薬の「グーフィス錠(エロビキシバット水和物)」の登場により今後変わっていくでしょう。

比較表

比較表ダウンロード(PDF)

便秘治療薬
スポンサーリンク
記事下・関連記事下(ディスプレイ広告)




楽天広告



記事下・関連記事下(ディスプレイ広告)




楽天広告



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
記事下・関連記事下(ディスプレイ広告)




楽天広告